くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

遠距離恋愛雑記1

高校1年の時だったか、バイトをしていた時に女の人(Sとしよう)がいた。
自分より2ツ年上の地元の公立高校に通っている人だった。

結構好きだった。
だがSには既に付き合っている人がいたし、俺は俺で違う人と付き合っていたので、そのときは好きの意味合いも大分違っていたのだが。

Sはかなり話しやすくて明るい人だった。
そして2ツも上とは思えないほどの幼げがある人だった。

Sは卒業と同時に大阪の専門学校に行くってことで1年後にお別れした。
そのときは自分は自分で当時付き合っていた女の人と上手くいっていたので、普通にバイバイ的な感じだった。

それから1ヵ月後、自分もコンビニのバイトが見つかったので、その職場をやめた。

それから2年後。
俺は転学はあったものの無事に高校3年で、しかも曲がりなりにも就職をして池袋で働いていた。

仕事は夜勤で、夜勤ともなれば1人2人の小さなPCの会社だ。

たまたまそのとき(勤務中だったのは憶えている)当時のバイトの人に電話で飲み会に誘われた。

多分憶えている限りではその年に参加した飲み会なんてこれくらいだったと思う。
そのときの自分は地元に帰省する気なんて一切なかったし、昔の友人に会いたいと思ったことはなかったから良く憶えている。

そこの元バイト先は小中で一緒だった人もいなければ同じ高校に行っていたなどの人もいなかったので割と気軽だったのかもしれないが、とにかくたまには気分転換にでもと思い、参加した。

実にその場にいた大勢と2年ぶりの再会になった。
そこでSがいた。
何事もなく軽い話をした。
どうやら大阪のエステか何かの仕事に就いているらしい。
当時付き合っていた人とまだ続いているのかは聞かなかった。

なにぶんそれまではSの存在すら忘れて2年も過ごしていたわけだ。
まともに話せるはずもない。

それに他にも久しぶりの人が多かったので、そちらともじっくり話してみたかった。
それであまり経緯は憶えていないのだが、とにかくSとアドレスだったか番号だったのかを交換した。

俺はとにかく酔っ払っていたのか、その時の事ですら全く忘れてしまっていつもの日常に戻った。
池袋で1人暮らしをしながら、チャリで職場まで通い、帰りにスーパーに寄って、帰ったらギターかゲームの日々だ。

忘れた頃にSから連絡が来るようになった。
それから少しだけやり取りをするようになった。

多分アレは夏だったと思う。
うろ覚えだが、飲み会に行ったのが就職してすぐだったから4月か5月。
それで連絡が来たのが真夏のシーズンだったから7月か8月だったんじゃないかと。
アイス食いながら連絡を取っていた覚えがあるので多分。

Sとやり取りを始めた。

何の会話というわけではない。
その頃は自分の気持ちも特になかったので、何を詮索するわけでもないただの世間話だ。

思えば電話嫌いの俺も仕事がヒマになった時間や休日に少しだけ会話をするようになった。
お互いの仕事がどうか、とか、まあそんなこと。
Sは大阪にいるんだよな、とわかっているから会う約束とかも特にしなかった。

そんな日常が過ぎ去ったある日、Sが埼玉の実家に戻ってくるという話をされたのでせっかくだから喫茶店で話でも、と思った。
そう思ったのは確かなのだけれど、とにかくそれは実現しなかった。
何でかあまり思い出せない。
確か俺の仕事の都合と相手の時間が合わなかったのだと思う。

とにかく何事もない「メル友」状態が続いてから数ヵ月後。
少し寒かったから秋〜冬の間だと思う。
家の近くのセブンイレブンで電話をした。
雑誌か漫画を立ち読みしている時だった。

とにかくその電話でSといつもどおり色々と話していた。
その電話のどうでも良い会話は全然憶えていない。

でも核心的だったことが1つあったことだけは鮮明に憶えている。
その会話の中で「大阪にいる“彼氏”と昨日話をしたときに〜」ってSが云ったのだ。

正直に云うとショックだった。
そしてそのショックというものが“そういう気持ち”に繋がっていくのだろうか。

俺は意地悪な態度を取ったと思う。
「そうなんだ、俺もこっちに“彼女”がいるんだが〜」
嘘だ、その時はいなかったと思う。

そんな話をした後に「御互いに相手がいるんだったら連絡とか頻繁にするのはやめたほうがよくね?」と云った。
そしてそれから電話を切った。
寒かったが、外で禁煙中だったタバコに火をつけた。
確かに空気は澄んでいたのだが、もの哀しげだった気がした。


一応エピソードはまだまだ続くんですが、何の為に書いているのかわからなくなってきたので続きはあるかわかりません。