くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

1人焼き肉専門店 ひとり。

先日の休日に上野へ行ってきた。

職場の友人と仕事中に「せめて、何か上手いものが食いたい」(何が「せめて」なのか)と会話をしていたら、上野に話題の一人焼肉があるという。
何が哀しくて一人で焼肉なんか食わなきゃならないのかと嘆きに嘆いて、移動中にそのまま動物園に予定を変更しようか悩んでいたのだが、結局動物園に行ったところで一人なので大して差がないと感じ、お目当ての焼肉屋へ。
一人で食うのが目的の焼肉なのだから、普通の焼肉屋にいくよりもはマシだろう。

行く前にググったら、意外と有名な店らしいことに気づいて、無駄に安堵した。
参考までに→1人焼き肉専門店 ひとり
安堵した理由としては、まず有名ならそれなりに客がいるんじゃないかということ、しかも「一人焼肉」なので、一人で来る以外には考えられないということ。
つまり、いつも俺がやっているような四人席を一人で占領するってことはありえないわけだ。(いつもやるなよという突っ込みは受け付けない)

少々場所に迷いながらも、これはそれなりに有意義な時間だと思って散策をまじえながら店に到着。
そして店内に入るなり、俺は驚愕した。

まず一つとして、客がいない。
ここで安堵の一つが消えたわけだ。

平日の13時という、俺からしてみれば実にベストな昼食時間帯だったにも関わらず、客がいない。
やはりいくらそれなりに有名とは云っても、来る人間は所詮俺一人なのだ。
侘しいものだ。
そんな俺が更に驚愕したのが、「お客様お一人ですか?」のその一声だ。

「1人焼き肉専門店 ひとり」と名乗っておきながら、「お一人様ですか」とはどういうことだ、俺が二人に見えるとでもいうのだろか。

仕方がないので、素直に「えーと一人です」というと、「お一人入りマース、ぷぷっ」という声。(ぷぷっは俺の心に聴こえただけ)
気づいたら後ろに客がほぼ同時に入ってきていたので、もしかしたら二人で来たのと勘違いされたのかもしれない。

紙に書いて注文するシステムで、更に一人専用の席のみだったので、やはり「ひとり」という店名は裏切っていないことをようやく自覚。

そして、肝心の肉なのだが、それなりに美味かった。
一人で食べるというだけで惨めだが、この美味さはそれなりに収穫があったものと思う。

さて、ここまでなら普通のエントリだ。
だが、ここで事件は起きた。

実はこの店、それなりに値段が張ったのだ。
なめてかかっていた俺は所持金2400円ほどだったのだが、会計時に3200円。
つまり、払えない、食いすぎた。
ここぞとばかりに使えるクレジットカードは前の月に使いすぎて、自宅の金庫に封印してきたというダメっぷりを見せつけた俺は店員に懇願して近くの銀行へ走ることに。

よく考えたら焦る必要はないのに、こういうときは無駄に焦ってダッシュで銀行へ行き、金を下ろして店に戻った。
戻ってから「すんません、すんません」と云い、焼肉店を後にした。

帰り際、無性に横っ腹が痛くなった。
上野公園で休憩をした後、せっかくなので上野動物園でゴリラを見て帰った。

一人で休日を満喫するのにもそれなりに覚悟がいるものだ。

しかし振り返れば、どこでメシを食うのにも一人な俺は、別に気にしなければ堂々と突っ込めるのである。
だがこんなことなら、一人で焼肉をするなら家でしたほうがいいのかもしれない。

俺の大好きなリンプ・ビズキットのボーカル、フレッド・ダーストがとある雑誌で「このアルバムで何度ファxクと云ったか覚えてないよ、笑」と云ったように、俺もこのエントリで何度「一人」を使ったか覚えてない。

思い出したら急に虚しくなってきたので、酒を呷りながら今日を無駄に終えることとする。