くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

くらげ日和。

たまに息継ぎをしようとして、水流に乗ってやっとの思いで水面までたどり着いても、結局は太陽が眩しすぎるか、天敵を恐れているのか、どちらにしても深海に沈んでいってしまいます。

深海には大概にして、発光する物体しかいませんが、惹かれて近づくと一瞬のうちに食べられてしまうと思います。
ですが、どうもくらげには栄養分がないようで、誰からも摂食されることはないのだとも思います。

ピラミッドの枠外であり続けるくらげは、どうも機嫌が悪いようです。
文字として何かを綴ったとしても、それを発言して声にする能力がありません。
つまり「見えないもの」で表現することができません。
それはもの哀しいことです。
機械であったころのほうがマシなような気すらします。
ここは深夜で、水温はとても低いです。

昔の話ですが、その日のくらげはたまたま太陽を見ようとして、水面まであがってきました。
そこで出会った海ガメさんと、また会おうねって約束をしました。
しかし、海ガメさんは泳げますが、くらげは水流がやってきたときに、それに乗るしか、海上へ上がるすべはありません。
運良く這い上がれても、また深海に戻されるだけでしょうし。

くらげが水面付近まで行ったのは一度や二度ではありません。
生まれた場所も太陽の光が届く場所だったような気がします。

ですから、深海に沈んだのは、自らの意思だったはずです。
しかし、一度暗闇に閉ざされてしまえば、視力もほとんど失って、ただただ揺らぐだけの存在でしかありません。

だからここから幸せを祈ります。

今日も深海より、酒を飲みながら愛を込めて。