くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

誰の期待にも、きっと応えられない。

僕は僕を信じていないので、常に僕によって僕の中に不安が付きまとっている。不安オブザミーバイザミーフォーザミーの精神だ。どのくらい信じていないかというと、毎日家を出る度に家の鍵を閉め忘れたんじゃないかと思うくらいだ。どうせ僕のことだから、家の鍵を閉め忘れて、空き巣に侵入されて、金目のものをすべて盗られて生活に苦労するというオチは目に見えている。家に金目のものがほとんどないのが唯一の救いだ。悲しい。

 

今、致命的に金がない。というか稼いでいないのでそりゃないものはない。退職金はいざ結婚したりすごく可愛い彼女ができた時の為に下ろしたくない。お金がないならないで、一日中アコギ片手にさだまさしカーペンターズの物まねをすることで出費はゼロだからこういうときは趣味に感謝しようと思う。

 

そう思った矢先、下の階の住人からうるさいという苦情があった。下界の人間はうるさいぜ…。とりあえずこのままでは特売のもやしすら買えないので金を下ろしてこようと思う。そもそも良く考えたら退職金がちょっとだけあるってだけで仕事もない男と結婚してくれる人はいないからである。いたとしたら逆にちょっと怖い。