くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

本当は行くべきじゃなかった。

アコギの埃を振り払って、単身、故郷の海へ行ってきた。ちょうど1年ぶり。相変わらず誰もいないこの海岸線。小さな石を、誰もいない海に投げ込んでからタバコを吹かした。

ふと、亡き爺さんが言っていた言葉を思い出す。「自分に誇りを持って生きなさい―」頭が痛くて心が重い。“今夜…この波は無力な俺を流して消してしまうだろう…”そう願いたかった。

望まれてもない、友達もいない、愛される人もいない、尊敬される人もいなければ、考えてくれる人もいない。どうしても、求まれたようなガキにはなれなかった。ごめんな、また失望させてしまった。自分なりに頑張ったつもりだったけど あまり意味がなかった。頑張った、試してみた、それでも出来なかった。

俺はまたここで…何変わらず涙を流しながらペンを取る。―強くなれたか?何か手に入れたか?何も成長できず、何も手に入れられず。必死で、あの頃の自分に問いかけている。―変われたか?大嫌いな自分からそれでまた眠れなくなる。去りたくない、ここから、去りたくはない。だけど、もう行かなくちゃ、時間なんだ。自分の弱さも情けなさを受け入れて、そこに在るものを素直に描くよ。俺は全然素晴らしい人間なんかじゃなくて、ただの情けない弱虫だよ。

それでも雲の隙間から差し込む朝日が足元を照らすなら―