くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

過去を通して、人生のイメージを再現しようとしている。

いつだって自分は正しいと考える人がいる。他の奴らは黙ってイライラ。他の奴らはやたら愛想がよくて。けど心の中じゃ悲しみや不安を抱えているのかも。

うん、わかった。なんとなくだけど。

なんつーかまぁ、俺もご多分に漏れず、“家族団らん”ってのに参加してきましたわ。…ガラじゃないけど。アニキも一時的にこっちに戻ってきてて、なかなか揃わないメンツが揃って。イトコにもたくさんガキが出来て、そのガキの相手をしてきましたわ。はっきり言ってガキは嫌いじゃない。というかむしろ好きだ。だが…好かれん! 実に好かれん!泣かれる!わめかれる!殴られる!それでも好かれる努力はしなきゃならん。

そして、俺も安易にもモノを使って釣る方法を考えた。いや、しかしそんなトキ、小さい頃オヤジが良く言っていた言葉を思い出した。「モノなんかで通じ合うよりもココロで通じ合え!言葉よりも行動で示せ!行動が一番ココロに残る!」とな。確かにそう思えばそうだ。

オヤジ、例えばあんたがこの俺を…。立山黒部アルペンルートのロープウェイから雪山に落っことしたこととか、後楽園遊園地に置き去りにしたこととか、倉庫のカギを間違えて外側からかけやがって12時間ほど真っ暗闇の中で泣いてたこととか、幼稚園から帰ってから全クリしようと意気込んでたFF5を俺が帰る前に勝手にクリアしてたことは、今でもちゃーんとココロの中に残ってるぜ。それとマザー。「あんたみたいなちょっと異世界の住人みたいなのは怖がるみたいね。」

とまぁ、言うまでも無く。どうにもこうにもとことん辱めを受けて帰ってきた。

んで、夜は公開リハの予行だった。公開リハの予行って事は、なんだかんだでお披露目が近いってコトで…。お披露目が近いってコトはまためんどくさいスケジュールが詰まるワケで…。こんなこと言っちゃいけないけど、俺、本当はツアーなんかいきたくねぇ!半端なくスケジュール詰まるし、寝る時間がほぼ皆無になるし…。時差を足したり引いたりして…人生の残り時間がゼロになる。毎日違う場所で違う時間に寝て起きたら違う人間になれるだろうか…。

しっかし相変わらず俺の愛器ジャガーは配線のチョーシは悪いし、頼みのスペア、ジャズマスターはメンテから帰ってこないし。しかも、電化系統が全然イケてナイ感じで音が全然ヌケねぇ〜!しかもAmの4フィンガーストロークで「テロン」ってなんだよ。「テロン」って…。死ねばいい。これで公開リハか!?不安だ、不安すぎる。こんなんでフェスにも全米にも間に合うのかぁっ!?て感じの出来だ。まぁまだ時間はあるし、じっくりやるさ。

そういえば、昨日仕事から帰ってきて始めてラブソングなるものを描いてみたぜ。まるであて先のない手紙を延々と書いているようだった。ともかく、意外とちゃんとやってますよ、俺は。もうフェスも全米も目前に迫ってるんで頑張ります。

ステージは最高。「第一声…失うものは何もない、後ろにいるビッチ共、さあ手をあげろ、俺が求めるように、お前もきっと欲しくなる、さぁ今夜、最高の夜を始めよう」普段じゃ相手にされないこんな“異国の言葉”も、音と声で燃え上がる。沈黙と忘却による暗黒の世界に身を投じて、自由を見つけた。希望を失うと自由が…。
家で延々と暖めた思いも、苦悩も、切なさも、怒りも全て何もかもを解き放ったとき、全てを忘れられる。せめて一夜だけでも、全てを忘れられる。俺にとってそこはそんな場所。ステージの上じゃ誰かのギターヒーロー。怖いものなんかない。きっと空だって飛べる。
…だが、実際の生活じゃただ御託と弱音と屁理屈を並べて何も手に入らないタダのガキ。みんな、俺の顔も、名前も、知らない。
夢にみた生活は全て飲み込まれてしまったし…俺に残ったのはこれしかないから。君を手に入れるためのインクでページが滲む俺の姿が一生アタマの中に離れないことを願うよ今まで失ったものは全て俺のペンとギターで取り戻す。俺は引かぬ、媚びぬ、省みぬ、である。ミスターロッケンロー。

こんなんじゃ夏遊べないのも当然だね。まぁ若干色んなお遊びを夏中にしたかったのだが、それも後回しにしよう。…凄くガッカリだけど。てなわけで、オラにパワーを!!!