くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

一生忘れない景色。

うんと、俺は18時〜20時頃の外の空気が苦手だ。
季節で云う所では4月〜6月は苦手。
つまり4月の晴れた日の18時〜20時っていうのは最悪のシュチュエーションだ。
何が嫌いかというとあの空気のニオイ。
わかる人にはわかると思う。

過去のことをごちゃごちゃと書いても仕方ないのだが、俺はワリと早い段階で家を出た。
はじめて1人暮らしをしたときなんかは、仕事が日勤で17時までだったのだ。
それから、家に帰る。
そうすると大体18時ごろになってやることも特にないのだが、引越した家の付近には友達がいない。

友達がいないということは常に1人でいるということだ。
俺はワリと1人でいるのがキライじゃない人だ。
休みの日には無駄に金を遣って一人旅とか良く行ってた。
一人旅のエピソードなんかはたくさんある。
なにしろ、土日は必ずと云っていいほど新幹線や飛行機に乗ってどこかへ行っていたのだ。

当て所のない旅をする。
それだけで若かったといえるのかもしれない。
なぜならば、俺は今そんな体力と気力はないからだ。

自分は、友達や話が出来る人間と、自分の満足できる仕事を手に入れてしまったために、当て所のない旅をする自分というのを失くしてしまったのではないだろうか。
大人になる、というのはそういうことだったのかもしれない。

そんな子供時代と大人時代の境目、多分人生で一番居心地の良かった聖域の記憶が心の中に残滓しているので、その季節と時間は苦手だなって話でした。

いや、もしかしたら色々な部分で、まだ大人になりきれていなかったりするのだろうけど。