くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

選んだのは自分だから。

もう一度、全て1から練り直してみようかな。

俺は後何回、夜メシを食えるだろうか。
何度寝れて、何度起きれるか。
何度人と会話をすることが出来るのだろうか。
たぶん、数える限りの人と、数える限りしか出来ないのだろう。

「そういう考えって疲れるよね」と云われるので「それを考えられないのなら死んでるのと同じだよね」と応える。

平穏無事な暮らしも悪くないってことも、大体はわかっている。
何かに愛されて、自分もそれを愛することができれば、それなりに幸せなのだろう。

なんとかしなくちゃいけない。
このままじゃいけない。
俺はずっとそう考えていた。
何を「なんとかしたい」のか、何が「このままじゃいけない」のか、具体的な理由は何もなしに。

人生に計画というものを立てたことがなかった。
いつも行き当たりばったりだ。
それで特に困ったことはなかったし、苦労してきたつもりも全くない。
人の話は基本的に聞かない。
憧れている人なんていうのも存在しないし、誰かになりたいと思ったこともない。
これからも自分は自分のままでいるのだろうとは思う。

1つの場所に留まり続けるということは難しい。
難しいなりに、価値があることだとも思う。
新しいものを探してその対象に憧れたからといって、それに飽いたらまた新しい対象を探すだけ。
でも、その繰り返しになるとしても。

とにかく都心を出て、どこかで別の場所で生活をしたいという思いが大きい。
ここに友達はいるのかもしれないが、同じ場所にいるという環境さえ消えてしまえば軽く拡散してしまうようなものだと思う。
他人に好かれているという自負もない。
誰かに好かれたいという気持ちもない。

自分達がまだまだ幼かった頃には、やりたいことはたくさんあったはずで、未来は明るかった。
だが、今はどうだろう。

このまま明日は今日のコピー。
そのまま年老いていこうとすることが果たして自分のやるべきことなのだろうか。

人生は未知だ。
しかしそれを前提においた上でも、自分が1年後に出来ることが大体想像できるんじゃないだろうか。
それが果たして良いことなのだろうか。
人によるのだろうけど、俺はあまり素晴らしいことだとは思えなくなっていた。

今日もどこかで色んな事件や事故がおきていて、たくさんの人が死んでいるらしい。
自分と、彼らの違いはなんだろうか。
ただ運だけの差なのか。
わからない。

自分はあまり長生きするとは思わない。
たとえ60年生きたとしても、それはあっと言う間だろう。
残された少ない時間の中で「あの頃ああしておけば良かった」という思いだけは絶対にしたくないのだ。
ただそれだけなんだろう。

俺はもうとにかく他人の理想像になることだけはしたくない。
自分は自分なりに、いつまでも自然体でいきたいのだと。