くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

面影とか。

昼下がりの喫茶店では、
厚切りにされたバウムクーヘンの横で貴婦人が悠長に人生のそれについて語っている。
若い二人組は秋刀魚がウザいだとか、妹がウマいだとかそういう話をしてる。
才能のある僕の友人はみんな、そのうちニートになってしまうだろう

かわいらしい響きの名前を持った青年が、結婚式場の隣で腰のひしゃげた老人と目が合った時。
金髪の少年は、女なんかとごちゃごちゃ云いながら女と手を繋いで歩いている。
彼は満を持して立てた中指を咥えられた…!
歩きタバコなんざクソくらえと思いながら歩いてタバコを吸っている僕もどこかにいる。

とるとぅるーとぅという音楽も聴こえてきたし、
寒くなったから、押し入れから重たくて温かい服を出してきた
なんだろう、温かい思いをしたいならば重いものを抱えないといけないのか
だったら寒くてもいいよね
大丈夫、
僕はなぜ嫌われたのか…!
大丈夫?
僕はなぜ嫌われたのか…!

ああそれでも、
僕は胸を張って云いたいのだ。
僕は感動できない毎日に感動しているのだ、と