くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

ベストとアコースティックギター。

遠くから見てご覧なさいね。
今、ランドセルを背負った小さな朝顔が遠くから歩いてくる。
彼はきっと次の上り坂を右に曲がるだろう。
白いボールを地面に叩きつけていると、曲がり角の隣にある民家に入ってしまって。
そこでは大きなゴールデンレトリバーが歯をギラギラさせながら見張っている。
気にすることはないよ、その犬は噛み付かない。
それを信じて中に入ってくと奥にいるバラのトゲに噛み付かれた。
嗚呼、怪我をしてしまったよ。
300円のCと書いてあるボールに対して大きな代償だ。
トータル500円の絆創膏とオロナイン。
お母さん、お父さん、ごめんなさいと書かれたガードレールの横。
そんな半べそをかいた少年を遠くから見てご覧なさいね。
今、ランドセルを背負った小さな朝顔が遠くから歩いてくる。
僕の隣に立って、僕を睨み付けながら、僕を助けようとする。
突然、僕の方も、涙が溢れた。