くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

お願いだから私を攫って!

彼とは3年前に出会ってね、と誇らしげに彼女が云うので。
これからどん底に墜ちる貴女はさぞ素敵ですね、と僕が云うと。
彼女は、ほんとうにありがとう、と返答してから、その場を去っていった。
教祖が僕であり信者も僕しかいないという僕なりの宗教に従って、宗教上の理由で仕事をサボったのにも事情があるのだ。

必死に頭の中をさらけ出そうと思っている必死な頭が必死な頭の中を描き始める。
まるで骨董品市場に置き忘れた骨董品の様相を呈しているが、僕にとって最大の骨董品は足下に置かれた石ころだった。
せいぜい長く見積もってもたったの100年しか持たない愚鈍にとって、億の流れは決して理解できぬものである。