くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

切望。

なんだとこのペテン師!
そう叫んでから、その男は外に出た。
外は雨だった。

道ばたには吐き捨てられたガムと煙草の吸い殻。
遠くには小さな男の子とその母親が手を繋いで歩いている。
歩道橋には足早に急ぐスーツ達があって、スカートはその後を追いかける。
デパートには顔も知らない大きなポスターがあって。
踏みつけられた雑草はこの先誰の目につくのだろう。

5分後、男はすいませんでしたと頭を下げに行った。