くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

世界嘲笑の愚昧の絶頂。

この間、アイホン4からアイホン5に買い換えた。
アイホン4の充電がぜんぜん持たなくなったので、近所の携帯ショップでスマートホンを物色して、アイホン以外に良いのがあれば他のでもよかったんだけど、そもそも僕は1週間くらい携帯の電源が切れていても気がつかないような人だし、機能は色々ついてても使うのなんて凄く限られているし、使うのはメールと電話くらいだけどそれも1ヶ月に1回かーちゃんからの連絡が入ればまだいいほうなので、結局ipodの移し変えも面倒だし、使い方を覚えるのもかったるいというかなり消極的な理由からアイホン5にした。

家に帰ってなんだかんだいってもウキウキして起動してみる。
すると、あまりの違和感に思わず僕も「what the hell!!!」と叫び声をあげてしまった。
家の蛍光灯が揺れた。
何故かアドレス帳とかブックマークとか全部消えた。
夜のオカズ(色々な意味で)を考えるのに必死で説明をまったく聞いてなかった僕も悪いといえば悪いのだが、一言くらい云ってくれてもいいと思う。
いや、思い出したら一言どころか何回も云ってたような気もしないでもない。
機種変前のアイホン4はそのままリサイクルかなんかに行ってしまったし、復活させる手段はない。

可愛い女の子から取るに足らない男まで一斉に消えた…。
取るに足らない男はともかく、可愛い女の子の連絡先が消えたことにはいくらイケメンの僕でも憤慨を隠せない。
確かに「新宿の女」とか「あ1」とか「屁が臭い奴」とか適当な失礼な名前で登録したりはしたけど、謝るから!頼むから戻ってきてくれ、カムバック!

とまあ、焦りに焦ったはいいけど、そもそも中学時代からアドレス帳を引き継いでいただけというただの面倒くさがりの性分で、別に友達を大事にするタイプでもないし、今メール送ったら92%くらいの確率でエラーメールが返ってくるんじゃないかということを考えると、別にカムバックしてくれなくても良いような気がしてきた。 

「ここから、また新たな自分と人間構築のスタート…」と無駄にカッコいいことを考えながら、アイホン4より前の携帯に入っていた家族と数少ない男と可愛い女の子全員にアドレス消えました、と連絡をしてからまったく何も入ってない携帯を片手に就寝した。

起きると、1件のメールが来ていた。
「お、早速メールがきているな、イケメンも捨てたもんじゃないぜ…」
無駄にそう思いながらわくわくとしながら携帯を開いた。
僕のオニューの携帯に初メールをくれた女の人の面倒を一生見ると決めていた。
件名「あ」
内容「久しぶり!そろそろ一度伺います!食べたいものを考えておいてください」
新しい携帯には当然アドレスしか表示されない。
誰かもわからない美女からのメールにわくわくする僕。
件名「久しぶり」
内容「ありがとう!ちょうど最近は暇だから、いつでも来てね。食べたいものは、貴女が食べたいものです。特別にふるまっちゃうよ(照)」


相手はかーちゃんだった。

その後、無駄にそっけないメールになって無駄にいつもより激しいオナニーをして後悔したことは云うまでもないだろう。(云うことでもないだろう)