くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

へそ曲がりのくせに、まっすぐ立とうとがんばっている。

先週の週末、隣人からトマトの種をもらった。どうしてトマトの種をもらったのかは説明するのもめんどうなので省くが、夏にはカブトムシを、秋にはナスの種をくれたりする優しすぎておせっかいでなかなかユニークでうざったい隣人だ。ちなみにカブトムシは虫篭から亡命して森に帰っていき、ナスは育てたが、育て始めて2日後あたりに暴風がきて吹っ飛んだ挙句枯れた。

 

まあ、せっかくもらったので好意に甘えてトマトの栽培を始めようと思った。トマトが育てば1年くらいは食に困らないだろう。しかもトマトは万能だ。パスタソースにもケチャップにもなる。野菜が値上がりしている今、もしかしたらこのトマトを売りに出して億万長者になれるかもしれない。そういう将来設計もありだ。

 

ローマは1日にして成らず。トマトの種一つからこつこつと努力を積み重ね、成功者になることだってできる。できるはずなのだが、水をやらずに放置して「これ何だっけ」となるのが目に見えているので捨てた。そもそもトマトってこの時期じゃない気がする。

 

というのが先週の話なのだが、昨日エレベーターで偶然隣人と一緒になったとき、「トマトどうだい?」と聞かれた。捨てたと云えない優しい僕は「今ちょうど育ちすぎちゃって、ベランダの物干し竿にツタ張ってて収穫に大変なところですよーいやートマトって美味しいですね、ほんともらえて感謝してます」とイメージだけで話したら満面の苦笑いをされた。

 

なぜだ、と思ったのだが、良く考えたらトマトってそんなに早く成長しない気がするので、ミスった。小学生の頃のプチトマトも地道に育てた記憶がある。

 

まあ人生にミスはつきものなので、1回のミスくらいは許してくれるだろう。毎年のことだが、たぶんそろそろ生まれすぎた文鳥の子供を押しつけてくる頃だ。オークションで売って小遣いを稼ぐというミスはしないようにしよう。