くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

シー、ユー、ハニー。

起きたら相変わらずやることが全く見つからなかったので、独り旅の計画でも立てることにした。
なんというか最近はことごとくやる気がなく、もう目も当てられないほど大変なことになっているのだが、細かいことは気にしない

独り旅に出るというのには色々と理由があるのだが、まず旅連れが全くいないという事が第一であるので、「独り旅」というよりもは「結果として独りになっちゃう旅」と云ったほうが的確だろう。
恥ずかしながらこの年になって女性は愚か、何かとバカが出来るような友達もいないのは実に哀しいことだ。

そういえば今年に入ってから何度か友人と「いつか呑みに行こう!」という話はしたものの、実際に実現したのは50回に1回もないんじゃないかと思えるくらいの低確率さである。
社交辞令の挨拶とは良く云うものの、我ながら哀しい確率だ。
打率でいう所の.020であり、このままでは二軍調整どころではなく、戦力外通告の勢いである。(実際に戦力外だからこそ実現しないのかもしれないが信じたくないところだ)
とは云っても誰かと話をしたところで楽しい事もウマイ事も何も話せる気がしないし、某アーティストが云うように「人生は足し算と引き算をしたらトータルでプラマイゼロ」というのならば、もっと若い時にいい思いをイッパイしてきたはずなので、まあヨシとしよう。

思い返せば、今までもほとんどの場合独りで生活をしていたようなもんだ。
3食独り、独りゲーセン、独り焼肉、独りシカゴ、独り韓国、独り帰郷、独り温泉、独り買い物、独り海水浴、独り山登り、独り観光…etcである。
書いているだけで哀しくなるような内容であるが、それはそれで色々な経験をすることが出来たわけだしヨシとしよう。

また、このままではリアルに孤独死しても白骨化されるまで気付かれないかもしれないという危機的状況な為なんとかしなくてはならないのだが「まあ、大人になるというのはこういうことなのかもしれない」と無理に自分を納得させる方法を思いついたのでヨシとしよう。

そういえば、先日の話。
いつもどおり、ジャズバーでの定期演奏を終えて帰宅しようとすると、女性(以下、A)に声をかけられた。
Aは「今日の演奏はとてもよかった」と云っていて、是非お話をしたいとのこと。
うまく言い包められた気もしないでもないのだが、まだ始発が通っていない時間だし、せっかくなので無駄にご高説でも垂れ流してやろうと思い、某居酒屋に来店。

居酒屋に到着するなり、はじめはそれこそジャズの話をしていたのだが、ある一定の領域に達したときにAの頭の上に「?」がついていることに気付いたので、そのテの話は中断し、全く違う話に切り替えることにした。

「よくわけのわかんない人にここまで話してしまうなんてよっぽど会話に飢えているんかなあ」と自己嫌悪に陥ってきて段々面倒になってきたので、Aの話を聞くことにすることにした。

「誰も俺のご高説など願ってもいないのだ」と無駄に卑屈になりながらも、Aは第一声に「28くん(俺のこと)って何かの芸能人に似ているよね」と聞かれたので、「もしかして、キムタクのことかい?良く云われるが、そんなに似てないぜ(照)」という返答を用意して身構えていたのだが、「あのお笑いのキングコングの〜なんだっけ?サル顔のほう」と実に難解な言語で話してきたので良く翻訳が出来ずにいたのだが、まあ結果的にはとりあえずブラピに似ていると云いたかったことだけは良くわかった

なんだかんだで盛り上がりつつもAの話を聞いていると、なんと何故か急にAが途中から泣き出してしまったのだ。
何故泣き出してしまったのかは全く定かではないのだが、どうも昔の彼のことを思い出して泣いてしまったらしい。

「ここでキムタク顔負けの男らしさを発揮すれば。これはチャンスである」と思うものの、心は素直に「非常にめんどくさいので情状酌量の余地無し」という判決を下したため、出来るだけ早く切り上げようとすることに専念。
結果的には連絡先の交換なども全くせずにさようならをし、更にメシ代を全て奢るという無駄に男前な男、略して「無駄な男」である。
俺の人生はこういったことが多いような気がする。

後悔と共に帰宅して思い出したことがあるのだが、俺はいい年こきながら2年程前から去年に至るまでとある女性に強烈な恋心を抱いたことがあったのだが、無視と失笑で無理に鎮火されてしまってから、こと恋愛に対しては全く気乗りしなくなってしまったのだと思う。
自業自得と云えばそこまでなのだが、だからといって、夜遊びに耽るほどの甲斐性もなく、適当につまみ食いするだけの元気もないので、このまま朽ちていくだけなのだろうとも思った。

鎮火されて水浸しの心にたかだかマッチの火を当てた所で、燃え上がるはずがない
無理なものは無理なので、いっそのこと爆弾でも投下しようと思ったものの、そうしたら単純に心が粉々になってなくなるだけなので、それはそれで何とも哀しいものだ。

ならば、この水浸しの心を持ち続けよう、そうしたらいつか陽の光を浴びて乾くのだろう

と、見渡す限り地平線で何も見えないにも関わらず「いつか岸に着けるかも」という無駄に前向きな希望を持ちながら、あて先もわからないボートに乗って大海原を漂うのである。

まあそんないつ朽ちてもおかしくないような人間を支えていると云っても過言ではない独り言のブログのようなものを徒然と続けているわけだが、まあいつの日か俺も消えうせることになると思うので、それまではなんとなくダラダラと続けていこう。

ということで無駄に独り酒を呷って今日を終えることとする。