くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

憎き日常と愛すべき孤独。

通り雨が凄絶に駆け抜けていったここは東京深夜2時。湿気だけ残して、虹は見えぬ深夜2時。8階から飛び降りてしまいたいほど憂鬱な気持ちを抱えた青年が見うる景色と、人工的な摩天楼が吐きつける罵声は似ているか。とにかく仕事がしんどい。ただそれだけ。ただそれだけで立っていることができる東京。

「熊にでも喰われてしまえばいい」って云ってた。実は俺もそう思ってると書き立てることはさながら、それが何かに同情する気も失せた老犬の歎きであろうか。それともそれは、ここに打ち寄せる都会のネオンの波に浚われてしまおうかという、君の笑顔。それに守られるルール。俺は実にわがままだが、もしそうだとしても悪いのは俺だけじゃない。

明日は汚れて君の下を這うか。もしくは改めて退屈な幸せに身を窶すか。どちらにしても俺の判断次第だと云っただろうが。

今日は俺も“とある形式”で一週間を振り返ってみようか。

  • 9/30(金)

・深夜に友人を飲みに行った。
・どんな話をしたか全く覚えていない。
・友人の1人が結婚すると聞いたが、俺の心は動かない。
・そんな年齢になってしまったことを歎くが、俺には何も残っていない。
・焼酎の夢を見て、吐きながら帰ってきた。
・大勢でいたが、俺は独りだった。
・孤独を取り戻しつつあった。良い孤独を。

  • 10/1(土)

・当然の如く、何もない休日だった。
・朝方は悪い孤独を抱えながら、良い景色の訪れを部屋で待った。
・俺の目に映ったのは、いつものディスプレイ。
・玉遊びをする外人達を見送るのは大勢の観衆。
・俺は見入った。
・そして夜、焼酎の夢を見ては下賎も下賎。
・地の下を這いずり回りながら、就寝。
バファリンの力は相変わらず。
・近くに誰かがいないことで夜には良い孤独を味わったが、物理的にも精神的にも俺は独りだった。

  • 10/2(日)

・焼酎の夢を見ながら起床し、起きれば朝の10時だった。
・膝を折りたたんで寝たせいで腰がいたい、ちくしょう。
・俺の仕事は夜からだ。夜から始まる。
・家で10時間PCに向かい、会社で10時間PCに向かう仕事。
・さらに夢の中で4時間PCに向かう。
・田舎に帰りたいが、仕事は楽しかった。

  • 10/3(月)

・昼頃に帰宅し、夕方に起床。
・へろへろになった頭の中で考えたのは、今日の仕事をサボること。
・早速同僚に電話して、体調不良を伝える。
・なんてダメなんだろうと自己嫌悪に陥りながらも、中々に良い孤独。
・今考えれば綺麗な夕暮れのお陰。
・誰からも声をかけられないことで、何かと不満が溜まってくるものだ。
・そして他人に声をかけられ、不満が溜まった。
・俺はわがままだ。
・だからこそ、酒を飲んでから禁酒宣言をする。
・禁酒宣言をしてから、2時間後に焼酎を飲む。
・久々にいい夢が見れた、おやすみ。

  • 10/4(火)

・仕事に費やす毎日の中でも、最も不快な日だった。
・目標は 俺の中で俺を殺すことVS俺の中で俺を生かすこと。
・数年前の記憶がふと蘇った。意味はない。
・仲間内の1人から連絡が来る。見事にスルー。今思い出した。
・女の子と飲みに行きたいが、行きたくない。
・俺はおかしいということを再確認した。くれぐれも要注意。
・道化について考える。
・宮廷道化人について考える。
・デザインが長引き、だらだらと帰宅し、酒を飲んでから禁酒宣言。

  • 10/5(水)

・終わってる日々の最短ルートを選ぶことに決め、酒を飲んでから出勤。
・俺の中で終わっているのは脳内だけではないということが判明。
・酒を飲んでいるときだけハッピーになれることを通算1055回知る。
・1056回目の憂鬱に苛まれ、仕事は最悪の出来。
・仕事なんてくそくらえと思ったものの、偽善的に残業。
・何もかもなくなってしまえば良いと思いながら、俺の目前にはレインボーブリッジ。
・ぼーっとしていたら寝過ごしてしまった。
・朝方に起床し、すぐに仕事へ逆戻り。

  • 10/6(木)

・さあ、今日も朝まで仕事だ。
・がんばろう。
・もうだるい、今そんな感じ。
・何かあるとしたらここにある。ここにないものはどこにもない。
・何かを言い聞かせるように仕事をする。
・上司が終電を逃してまだ職場にいやがる、なんとかせい
・俺はだんだんと孤独を取り戻してはいるが、やはり孤独はつらいものである。
・つらいとなると、俺の中で何かが芽生える気がする。
・そして芽生える前は必ず焼酎の夢をみる。



そして今日も無駄な1日を終えるのである。