くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

My Epitaph. #12

  • 3/10(Saturday)

・哀しみがやってきそうだったので、迎え撃つ態勢で待っていたのだけど、そのまさかいきなり奇襲を受けた。僕のハートはまさに敗走寸前なのだが、最後の一滴になるまで抵抗してやろうと思った。どうせ背水の陣なのだから。しかし僕が最もショックだったのは、謀反を仕掛けたのが、かつての僕の言葉だったということだろうか。本当に言葉は悪事でしか生きてこないのだな。とにかく今は血を流そう。過去の僕も、今の僕も。

・11時前に、君が優しくアイロンがけしてくれた服を着て、歩いて蕎麦屋へ行った。天気は今にも崩れそうだった。君とはまったく無関係な場所から、僕はまるで祖国を離れた兵士のように、故郷のことを思う。あの海は未だに安らぎで溢れているのだろうか。僕の街、僕の海は確かに其処にまだある。しかし、待っていたはずの人はすべていなくなってしまった。哀しみを引き離せない。僕はいったい何処へ向かおうとしているのだろう。いや、何処へ向かいたいのか。願わくば、心を無に、君の真ん中へ。君の中心へ。

・家に戻ってから、昼寝をしたら17時前になっていた。これから仕事をしてきます。

  • 3/11(Sunday)

・仕事をしてきた。一言で云うと疲れた。この「疲れた」は全く歓迎できないものの一つで、とても苦しい疲れである。僕はこれから何を手に入れて、何を見捨てて行くのだろう。

・僕は今まで決して向き合おうとしなかったものと、向き合おうとしている。僕が思っていたよりもこれが前向きではないし、実に急速で慌ただしい。そして際限なく哀しくて、辛い気持ちだ。だけど、死ぬことが生きることよりも楽なように、僕は辛くてもこの気持ちをいつまでも引きずっているわけにはいかない。傷つけというならば傷つく。望むならば、泣くのも喚くのもやめない。だが、死ねと云われても僕は死なない。

・「まとまった!」と思って投下したテキストを読み返して、全くまとまっていないことがわかって少し落胆した。しかし、僕はそう遠くない未来に、今抱えている哀しみを棄てるのかもしれないということを覚悟した。もちろん哀しみを棄てることそのものが「楽しさ」に直結するものだとは限らないし、今の哀しみから、ただ色が変化してまた違う色の哀しみを携えるのかもしれない。変わりたくても変わりたくなくても、どちらにしても誰だってそのままじゃいられないのだろう。もういい加減、何もかもが哀しい。おやすみなさい。

  • 3/12(Monday)

・仕事をしてきた。新人の教育をしていて、自分の仕事が最後になってしまったので18時間くらいいた。ここまで来ると本格的に馬鹿だ。だが、他にもやり残しているものがあるので早めにこなさなくてはならない。今週もあまり眠れないだろうなぁ。

・小さな頃の僕に向けて、曲を描き始めた。「どうか聞いておくれ」から始まるその曲の楽譜を完成させるまでにどのくらいかかるだろうか。願わくば。暗がりで恐れていた過去の僕。どうか、聞いておくれ。

・ある一つのことがきっかけで其処にいたけれど、もう最後にしようと決めたことがあります。僕はちょっとずつ様々な決断をしていく。そのことに正しさと美しさが宿ればいいです。あくまで僕にとって。

・もう長いこと行っていないのだが、君の家には独特の香りがあった。君が「ずぶ濡れになったから」と云って僕の家に置いていったままのカーディガンから、その香りがした。もうあまりにも懐かしくて、その場で僕は泣き崩れていた。彼らはもう待っていない。僕は本当に乙女心が過ぎる。なんて情けないのだろう。気持ち悪い。あの頃から気持ちが変わっていないのは、君だけなのだろう。もしかしたら、僕もそのうち倒れるかもしれない。当然、君には内緒で。