くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

岩手県旅行手記 1-2

1-2

 

順調に到着したは良いものの、いきなり腹を下しました。

盛岡駅はなんというか都会でした。

埼玉県蕨市くらいの都会さだと云えばわかりやすいでしょうか。

松山駅と違って、ちゃんと自動改札あります。

松山駅は到着した瞬間に「間違ってんじゃないのここ」と突っ込みたくなるほど、人はいないし店はないしの状況だったので、盛岡の都会さに無駄に感動しました。

 

しかし僕はそんなことよりももっと大事なことがあると云わんばかりにトイレを探し回りました。

駅の隣にパルコみたいな施設がくっついていたので助かりましたが、とにかく急いで用を足さなくてはなりません。

なぜなら、来たことある人はわかると思いますが、宮古方面に向かう電車は3~4時間に1本、そして終電は18時という「新幹線の方が多く通っているんじゃねえか」と突っ込みたくなるほどの本数だからです。

そして僕が乗らなくてはならない電車は13時50分。

約10分しかクソを垂れる暇がないのです!

急がなくてはと思う割には、なかなかキレの悪いクソ。

クソったれめ!

結局電車を逃して3時間も重い荷物を引きずったまま置き去りにされるのは勘弁なので、多少キレが悪いままなんとかギリギリ電車に乗り込みました。

まあそれが間違いだったんですが。

 

僕の経験だと、田舎で長時間乗る電車って、意外に広々としてたりするもんです。

ちなみに松山から今治に行く特急はそうでした。

しかし電車は僕が期待していた豪華特急というものを大きく裏切りました。

実際はスーパー田舎クオリティの1両編成、しかも電車というよりバスとか路面電車に近いんじゃないかという車両。

ボタンを押すとドアが開きます。

そして何よりも強敵は、先ほどからずっと腹に停滞しているクソへの恐怖。

ここから2時間くらいこれに乗ってなきゃいけないのか。

僕はいきなり不安になりましたが、そんな不安をよそに電車はうぉぉぉんというなんともいえない奇声を発しながら発車しました。

 

案の定、僕は駅を出てから10分ほどで腹を再び下しました。

当初の計画では駅弁でも食いながら、自然の中を優雅に走る列車の車窓から見える景色なんかを堪能しながら、俳句の一つや二つでも作って女の子にメールで披露してやろうと思っていたのですが、結局僕は冷や汗をかきながら必死にクソと戦う羽目になりました。

というか駅弁とか食える電車じゃないです。

普通の横並びの座席ですから。

クソくらえです。

いや出来ればくらわせずにすませたいものです。

 

移動中はやっぱり自然がきれいで、その中を優雅に駆け抜ける電車だったんですが、俳句とか景色とか観光とかもうどうでもいいから早く駅に着いてくれの一心でした。

途中で何度も挫折しかけましたし、汗かきすぎて過呼吸になったりならなかったりしそうでしたが、なんとか2時間耐え抜きました。

最後なんてもう、80歳くらいのおじいちゃんみたいに腰を曲げて、到着約10分前からドアの前にたちっぱなしで、ドアの開くボタン連打してたら運転士に怒られました。

 

宮古駅に到着する間際、僕は反対側の出口になにやら棒人間のようなマークを発見しました。

まさかな、まさかなと思いながらも近づいた時に確信しました。

あの、男と女が寄り添って今にも挿入するかしないかというほどのマークといえば、、、

なんと、この電車トイレつきでした。

「云えよ!先に云えよ!」と発狂して全裸になってカンニング竹山ばりに「いいか!ここでうんこするぞいいか!」なんて云いたい気分でもありましたが、もうそんなことにいちいちキレていたらいつ僕のパンツに華が咲くかわかったもんじゃなかったので、とにかく駆け足で駅のトイレに向かいました。

 

駅のトイレで一世一代の戦いを終えた後、仏像顔負けの幸せそうな顔で外へ出ると「where am I !?」と思わず叫んでしまうほどの景色が広がっていました。

自分だけ江戸時代に間違えてタイムスリップしてしまったんじゃないかというくらい、外は侍と忍者だらけだったら良かったんですが、侍も忍者もいないただの田舎でした。

こんな街に風俗街なんてなかろう、と深い感動と失意を覚えました。

 

しかし、無駄にむかつくくらい長閑です。

天気も雨と聞いていたのにきっちり晴れ上がってます。

前情報では例の震災でほとんど流されたと聞いていたが、本当にそんなことあったんだろうか、まあまだ街を歩いていないから、ホテルに着いたらその名残とか美味い店とか風俗街(諦めきれない)とか探そう。

そう思いながらとぼとぼ歩いて駅からそれほど離れていないビジネスホテルにチェックインしたんですが、自動ドアを入ってすぐ左手にロビーというちょっと風俗を呼ぶ身としては勘弁してもらいたい造りで無駄に失望しました。

 

まあとりあえずはメシだな、と思い散策を始めました。

思えば、出発前に家でソーセージパンを全裸で食ってから何も食ってません。

とにかく腹が減りました。

 

駅を少し行ったところにラーメン屋とかあった気がしないでもないですが、ここまで来てラーメンなんてと思い、僕は逆方向に歩き始めました。

もしかしたら途中に面白そうな飲み屋街があるかもしれないのですから。

僕は歩きました。

僕は2時間くらい歩きました。

それでも飲み屋どころか肝心のメシ屋すら見つかりませんでした。

もう少し行けば何かある、きっとある、と思いながら足を進めましたが、ある程度まで行ったところで「来た道をこれから戻るんだよなあ」と思うとぞっとし始めたので、海沿いのベンチに座って一服しました。

あたりを見渡すと、住宅すら疎らになっていてたぶん外にいるのも自分だけなんじゃないだろうかと思うほど何もありませんでした。

 

そういえば途中、「中華 はやし」とか「寿司処 梅」とかあったりなかったりしたんですけど、田舎特有のやっているのかやっていないのかわからない感があり、他の「たぶんメシ屋なんだろうけどなぁ」と淡い期待を抱かせるような所もほとんど何屋なのかわからない状況。

さすがに何を売ってるかわからない店に入る勇気も起きません。

下手に入ってしまった場合、もしかしたらお婆ちゃんの盆踊りとかストリップとか始まるかもしれないからです。

 

しかもほとんどのメシ屋は営業してませんでした。

金曜の夕方にやらないメシ屋なんて、じゃあいつやるのと云いたいところです。

今年の中日の井端並に期待を裏切りまくりです。

 

さて、これからどうしよう。

しかしこのまま先に進んでも、もしかしたらゾンビとか出てくるかもしれないと思い、途中の大通りでタクシーを拾うことにしました。

なかなかタクシーが来ないので、待ちがてら今自分が何処にいるのかも知りたかったので、誠に残念ではありますがアイホン5の力を頼ることにしました。

自分がいるところをGPSで表示すると、結構遠くまで歩いてきたんだなあと思い知らされました。

それとあのまま進んでいなくて良かったとも思いました。

ずっと進んでいたら、海の端まで辿りついて無駄に悲しい思いをしたことでしょう。

 

やっと来たタクシーを拾えたので、運ちゃんに聞きました。

「ここらへんにメシ食える場所は存在しないんですか!」と。

すると運ちゃんは「駅の方にマクドナルドあるけど」と何の躊躇いもなく答えやがりました。

「こんなところまで来てマクドナルドだと、バカ 俺は刺身とかくいたいんじゃい」と云いたくなる気持ちを抑えて「じゃあ飲み屋街とかはあるんですか!」と聞くと、運ちゃんは「そんなの東京の方があるだろ」と云い腐りました。

「当たり前だ、バカ こっちは漫才するつもりはないんじゃい」と云いたい所でしたが、都会の飲み屋で誰にも相手にされないから田舎まで来てわざわざ探してんだよという本音を見抜かれそうになったので云い留まりました。

 

無駄に長い散歩が終わって駅に戻ってくると、駅のほんと真横に海鮮料理屋ありました。

わざわざ遠くまで歩いた必要がないじゃないかという失望感も確かにありますが、無駄に運動になったとプラスに考えておきました。

もうプラスに考えるしかないんです。

しかしそれにしても此処で食った刺身定食はタイ、つぶ貝、赤貝、トロと云った豪華メニューで少々値は張りましたが非常に美味かったです。

美味しすぎてご飯を3杯おかわりしてしまいました。(伝票を確認すると1杯300円もしやがりました)

それと瓶ビールを一本飲んで、適度にほろ酔いになりました。

 

しかしそれにしても明日からどうしよう。

メシを食うという目的の為にわざわざ2時間半もかけて盛岡まで行くのも気が引けるし、更にそれをすると戻って来れないし…。

こうなると本格的にマクドナルドかコンビニのお世話になるしかないのか…という大きな絶望感を持ちながらホテルに戻り、なんの躊躇いもなくデリヘルを呼びました。

 

なんか言い訳がましいけど聞いてください。

紳士でイケメンである僕が、性的なサービスを目的として女性を呼ぶなんて本来であれば有り得ない話です。

今回は性的サービスを目的としてるんじゃなくて、あくまでここいらのメシ屋や遊ぶ場所などについて聞きたかったんです。

だから、呼びました。

いや本当は性的サービスを目的としてました、すいません。

 

で、某というデリヘルに電話をかけると、電話に出たオッサンは「そこまでは行けねえよカスと」と云ってました。

何度電話してもこの瞬間が無駄に一番緊張する…。

しかし無駄に緊張しただけで不発に終わりました。

うーむ。

確かに調べてみたらここまで来れそうな店は一つもない。

こんなことなら盛岡に滞在すれば良かった(男泣き)

 

そんなこんなであと3日も無駄にここで過ごさなくてはならないというかなりの失望感と絶望感を胸に、せっかくなので無駄に楽しみたいと思う。

いったい何を楽しめば良いのだろう。

そう思いながらしんみりとオナニーして寝ようと思います。

 

まだ28の岩手県旅行手記は始まったばかりなのであるー

 

~続く~