くうちゅうくらげ

-A Boys Named No.28-

いもむしちゃんの野望 #2

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[No Dead ends even with the scars]

以下は、限りなく妄想に近い妄想です。

まったく、誰かに迷惑をかけずに死ねる方法があるものか、とここのところ考えているのですが、まあそんな方法があるならばとっくに死んでいるので死ぬまでそんな方法見つからないというのが答えです。少なくとも今まで生きてきて誰かと関係を持ってしまった以上は僕が死ぬことによってわりと傷つく人が絶対にいるのです。これは実にうっとうしいことです。

とはいえ、なんか上手い方法はないものでしょうかねえ。人殺すとかは、加害者になってしまう以上被害者は傷つくのでよくないと思うんですよ。自殺とかしちゃったら見つかる確率が非常に高いのでそれもある程度却下です。

[/No Dead ends even with the scars]

 

[If only we knew]

僕に何か落ち度があったのかもしれないけど、今になってそれを確認することはできないわけだから、悔やんでも仕方がないということは承知している。だけど、僕がどんなに頑張ろうとも変わらないものは変わらない。一度壊してしまったら、望んだモノはもう手には入らないってこと。

シンプルな映像に身を潜める。衛生的な草原の先に広がったシマウマの群れ。オアシスの緑色を拡散しながら走っていこう。怠惰に。僕の哀しみが小さくなっていくとき、引き替えに何を手にするだろう。願わくば、もう二度と君の眼孔から消え去らないような傷跡で。今週最後の金曜日、僕は僕の面影を見る。だけどその景色もきっと4、5℃気温が上がったら忘れてしまう程度のもの。

始まりを終わりに捧ぐ。

[/If only we knew]


[It's ok to use your ability]

ちょっとずつ変化に対するイメージをしてみる。僕にはそれができるんだ、と自分を励ましながら。それはカタカタと音を立てながら日常が築き上げるイメージ。それはコーヒーの中の氷が太陽に照らされて溶けていくようなイメージ。コンセントを引き抜けば僕は僕としての活動をやめるだろう。

掌の運命線を動かしながら僕は僕と仲良くなる。

[/It's ok to use your ability]

 

[that I've been dreaming of?]

今思えば、と何度も思っています。取り返しのつかないことをしてきたと思う、と何度も思っています。過去のことは気にしても仕方がないと思う、と何度も思っています。まだここから動けていないなと思う、と何度も思っています。そして同じ景色を見ています。

窓の外から夢の中の赤い目玉が笑うので、そろそろ出ていかなくてはなりません。

[/that I've been dreaming of?]

 

[When I said that I'd return to you I meant more like a relapse]

僕は僕に近づく為に君に近づく。純粋無垢で造られた救われない笑顔を見て心を安らげながら、心を惑わしながら、僕は進む。世界は廻り始める。いや、もともと廻っていたのかもしれないし、もしくは廻っていなかったのかもしれない。僕が生まれた瞬間に廻り始めたのかもしれないし、僕は死ぬまでその術を知ることはできないだろう。

このままでは終わってしまうのではないか、と君が思ったとき、それは始まりに繋がるんじゃないかと思う。僕はそう思いながら、二等辺三角形の隅から隅へと移動する。花束とクライアント、いつかの僕の記憶。それはたとえば蓋をし忘れたインクが机の上を汚すように後悔と羞恥の連続。僕は当たり前のことを思い出した。忘れていたことを思い出した。思えば、あのこのこともあのころのこともあのことも忘れていた。電話が鳴って話をすれば、確かに君の声が聞こえたが、それが本当に君なのかがわからなくなっていた。

僕は今どうしようもなく君の声が聴きたいな。誰かに先を越されてしまう前に。誰かに心を見透かされる前に。誰かにこの言葉を知られてしまう前に。“いつか”なんて言葉は聞き飽きたし、僕に“いつか”は必要ない。ただ今どうしようもなく君の声が聴きたいな。誰かにこの言葉を馬鹿にされる前に。

僕は恐れているんです。何をって訊かれても明確には答えられないです。それはどうしてって気にする人もいなくなったので。まあそれは結果論ですけど。

[/When I said that I'd return to you I meant more like a relapse]

 

[Are all the good times dead and gone]

いくらかっこいいことを考えていても実際は何もかっこよくないのでがっかりです。人生はイメージ通りにはいかないものです。まああれです。思いは共通でなくてはならないわけではありません。考えていることが同じでなければ仲良くできないとか愛せないとかそういうわけじゃありません。「理解できない」というのは、その人のことを精一杯理解しようと思った場合は、たったの一つも理解できないことなんてありません。なぜならば、理解できないというのは、知る必要がないと諦めることだからです。

[/Are all the good times dead and gone]

 

[I don't want to lose it]

僕はいもむしちゃん。あなたの身体の隅っこの良心の呵責の一部。僕の得意なことはお願いごとを聴いてもらうこと。でも叶えてもらったお願いはひとつもないんだ。

僕が必死に這っている間に、みんなはたったの一歩で僕の何倍も進んでしまうんだ。だけど悩んだり悔やんだりはしないよ。どうせ僕はいもむしちゃん。自分に与えられた使命を果たすだけだよ。僕はあなたがベッドで考える夢の中の一部の存在。そして、夢見るすべての人を歓迎するよ。僕は良心の呵責の一部だって云ったよね。いつでもあなたの中に入っていって、這いずりまわってあげる。僕が人に嫌われているかどうかなんて関係ないよ。

いつか僕は空を飛ぶはずなんだって、誰かが教えてくれたから。

[/I don't want to lose it]

 

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