血相をかえて昇った今日の朝焼けに。
俺はある日、最上の別れの言葉を用意して君を待った。
満足はない。不満足もない。自由もなければ、不自由も無い。
それなのに、この心の底から湧き上がる“哀しみ”は何だろう。その実態は?それが残すものは?
俺が俺のままであるならば、君も君のままでいいって保証はできる。優しい言葉もかけることができる。笑顔を真正面から見て、笑顔を返すことができる。だが、そんなこと。
相対的に他の人間がなれないようなほど人間のクズに成り果てた俺は、「これ以上酷くなれるなら」VS「こんなはずじゃなかった」の勝負。だけどそれのほうが安全、傷つけるのは俺だけで済むから。
正直に云うと、俺が何も話すことが無いときでも、君には嘘をつく価値がある。そんな言葉好きじゃないけれど、俺はいつだって何も感じない、いや、感じられない。君のことは確かに好きだ、だが、行方はわからない。俺はそれに恐怖を感じて、今のままじゃダメだと。今のままじゃ絶対にダメだと。何度も何度も。
いつか、自分の人生とキミの人生に、色々と代入して考えてみたことがある。俺が進む先のわけもわからない路を、君と歩くわけにはいかないと思っていた。だけど、心を出してよ、名前を呼んでくれよ。何もかも、うまくいかないんだと、叫んでくれよ。そしてその時は傷の舐め合いでもいい。
遠くへ離れた。何もかも遠くへ離れた。それでも心は、この場所にあるままだ。崩して丸めることもできやしない。今日出ていってもいいかな。…君が間違っているって云ったことに、賭けてみたいんだ。
夢の足跡を辿りながら、涙を流してみる。君は俺の涙を辿りながら、追いついてくれればいい。ただ願わくば、願わくば一緒に。
そしてその頃、部屋の片隅では、洋酒のボトルが光る。いつものように、いつものように。